◆第一句集
海開くフランス装の書を切って
この世の理屈をこえて小さな言葉が発光する、そうした言葉の不思議な快感、それを私は泰さんと共有したい。(跋より・坪内稔典)
◆自選十句
海開くフランス装の書を切って
銀河濃し天金の書は閉じたまま
新宿の朝をひきずるナメクジリ
極月の耳そぎにくるムンクの手
クリムトが産卵はじめる冬茜
十三に残したままで散る桜
ナイフ買う流星に刺青今夜
語りえぬものは語らず青葉冷え
夏の夜のサーカス跳ねて無人駅
別々の朝を生き死ぬ桜貝
*
[あきやまやすし(1954〜)「船団の会」所属]
跋:坪内稔典
装丁:和兎
四六判上製カバー装
162頁
2016/01/21刊行