◆第一句集
夜長しチェロに聴きゐる母の笑み
著者は、句風のとおりいつもにこやかで、誰に対しても優しく、芯の強さは内に秘めている。句集名『凜として』はそうした著者の句風、生き方を的確に表している。(序より・三宅照一)
◆収録作品より
心太ひもじき夫の腑を満たす
雉鳴きて畑の夫に昼を告ぐ
父の意に応へて晴れて入学す
末娘嫁ぐまではと雛飾る
節料理女四人の華やぎに
婚近き娘と仰ぐ十三夜
卒業や和服のままに胴上げす
天の川娘の乳のほとばしる
初孫の泣く声蟬と重なりぬ
木犀の香りの先に我家あり
*
[うつぎとしこ(1954〜)「かわせみ」所属]
序:三宅照一
跋:小幡と志
挿画:河野秋枝
題簽:岩嵜愛美
装丁:和兎
四六判上製カバー装
218頁
2015/12/27刊行