◆第一句集
噴水の上がらむとする鼓動かな
句集『水の旋律』には「水」の句が多い。水は時として疾く走り、時として緩やかに流れる。又、ある時は高らかに鳴りひびき、ある時は静かに満ちわたる。その変幻自在な多様性が句集『水の旋律』を豊かで魅力あるものにしている。(序より・大串章)
◆自選十句
青蘆の中に束の間道のあり
阿蘇一望野火は天へと蜂起せり
逆光出で白鳥の白よみがへる
一茶忌の雪の気配に目覚めけり
大寒や鐘打ち鐘の音に打たる
天高し象に恋人見せに行く
絵タイルの波越えて蟻走りけり
青年のチェロ奔放にして涼し
大鷹の爪逃れたる鳥泳ぐ
異界へと誘ふ夜の牡丹雪
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[いしざきひろこ(1939〜)「百鳥」同人]
序:大串章
跋:太田土男
装丁:和兎
四六判フランス製カバー装
200頁
2016/01/20刊行