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◆ 第二句集
パッと開いた112ページに、「春立つと耳をしづかにしてをりぬ」「春の雪三階の窓閉め忘れ」という句が並んでいた。これらの句を見ていると、耳がちょっとくすぐったくなった。また、窓のそばで私も雪を待とうと思った。その気分って、心身が外へ向かって開く感じ。私の心身はきれいになって少し華やぐ。千舟の俳句の言葉に染まるのだ。(坪内稔典)
●『視線』自選一〇句
ふうはりとくらげの骨の青かりき
わつと来て母の日に食ぶハンバーガー
老人がきれいに住んで芋の秋
かたくりや素直になつてゐる時間
蟻の列しんがりの蟻若く黒く
いびつな息して晩秋のラ・フランス
侘助へ視線侘助から視線
魚煮てをり寒月のふるへをり
鍋ひとつぴかぴかにして万愚節
黄落を来てくすくすと笑ひけり
「半夜」同人「船団の会」会員(1931〜)]
定価 本体2381円+税=2500円
帯・坪内稔典
装丁・君嶋真理子
A5判並製小口折表紙
136頁
2007.01.25刊行