◆第一句集
雑炊や玉子ほぐして少し待て
なんと微笑ましい、自由で楽しげな句だろう。十七音を扱えることの嬉しさが溢れている。洋子さんが微笑みながら、まっすぐな視線を向けている俳句の窓には明るい光が溢れている。(序より・満田春日)
◆自選十句
渋さうに鬼灯の音出でにけり
牛蛙今来た道のなつかしく
永き日のトーフーと鳴る喇叭かな
生垣に刺さつてゐたる散紅葉
青柿のくつつきすぎてゐるふたつ
人日や一礼をして隣り合ふ
立つて座つて柿剝いてくるる人
三寒の園丁枝を触れ歩く
爪に艶戻つてきたる半夏生
楽しくて目を見て話す冬苺
*
[ひらたようこ(1958〜)]
序・満田春日
栞・対中いずみ
装丁:君嶋真理子
四六判変形上製薄表紙カバー装
176頁
2015/1/15刊行