◆第一句集
春眠のわれとわが身を分かちけり
二十代の蜜柑さんが俳句という伝統詩の流れに身を置こうとしたのは、自らのうちに、これらの作品が持つような穏やかな孤愁への志向を認めた時だったかもしれない。
(序より・満田春日)
◆自選十二句より
冬の雨松葉の先に留まりぬ
退屈な上着脱ぎけり青嵐
白湯淹れて忘れてしまふ十三夜
ゆつくりと言葉継ぐ人夏木立
来る人の足みてゐたりうそ寒し
泣き伏して枕の匂ひあたたかし
うす青きうがひ薬や冬に入る
会ふこともなくて過ぎにし花八ッ手
かたき葉の埃を拭ふ歳の夜
初しぐれ人とほるたび灯の揺れて
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[やまぐちみかん(1973〜)「はるもにあ」同人]
序:満田春日
栞:山口昭男
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
180頁
2015/12/29刊行