◆第一句集
若竹の真みどりといふ一本気
富川さんの家族に対してまた物事全般に対しても前向きで潑剌と突き進んでいく姿勢が垣間見られ、読者にもその明るさがしっかりと伝わってくる。
(序より:能村研三)
◆自選十五句より
薄氷や初めて切りし嬰の爪
てのひらの仔猫けむりのやうにゐる
紙風船突いて空気のかたちかな
ローラースケート春風のジグザグに
筍にゑぐみ老年反抗期
大道の紐芸夏の雲手繰り
水母浮く真昼の月になりたくて
草笛やぼくから俺に変はりし子
へろへろと恋のくだりに紙魚のあと
昼寝覚めのつぺらぼうの顔あらふ
*
[とみかわあきこ(1938〜)「沖」同人]
序:能村研三
装丁:和兎
四六判上製函入
210頁
2015/12/23刊行