◆第一句集
卒寿なる夫婦そろひてあたたかし
句集『八ヶ岳山荘』には著者の人生の荒波を越えたあとの、普段の生活が詠まれている。飛山さんの最近作には年齢を感じさせない、知の働きがあり、一句を詠む力に衰えはない。
(序より・西山睦)
◆西山 睦抄出
春風のそこまで来ては戻りけり
職退きて肩書きとれて桜貝
甚平を着て山荘の主となり
紫陽花のむらさきの絵の具なかりけり
春色の足らぬ絵の具を買ひ足して
ネクタイの細めを選ぶ更衣
さくらんぼ指輪をそつと置くやうに
薬もつ齢となりぬ猫の恋
新緑や復配決まる知らせくる
*
[とびやまかずお(1925〜2015)]
序:西山睦・蓬田紀枝子
装画・挿画:飛山一男
装丁:和兎
四六判上製カバー装
197頁
2015/12/15刊行