◆第一句集
白魚の汽水を恋うて囚はるる
広告の言葉と、俳句の言葉。
今いる場所が汽水域だとすれば、
これから、川を離れて広い海に向かうのか、
それとも、海から戻り源流へと遡るのか。
(あとがきより)
◆自選十句
白魚の汽水を恋うて囚はるる
立子忌やあのやはらかきナイフ欲し
阿と吽の間を抜けし春埃
灯台へ行く道は無し卯波見ゆ
海を見る形に生れし籐寝椅子
ブラウスの遺品花柄原爆忌
霧の中大人の位置を忘れけり
スカーフを結びほどいて秋さみし
黒板を見ずに見てゐる冬の山
肩掛けに守られてゐる弱気かな
*
[ますおかぐみ(1957〜)]
栞:星野高士・檀 太郎・中島信也
装丁:和兎
A5判変型上製薄表紙カバー装
218頁
2015/11/30刊行