◆第二詩集
作者の手料理には、ストイックな皿に余剰を削ぎ落とした言葉が鮮やかに並んでいる。日常の料理が詩論や美学や世界への誘いであるような詩篇は、洒落ていて、特別に美味いと思った。生き方や社会との関わりにも及ぶストイックで知的な作品群には、感覚的で豊饒ないのちが隠されていて、随所に現れる太陽の〈黄色〉は、その意味できわめて暗示的だ。
(帯より・以倉紘平)
◆「ジャコメッティ・サラダ」より
緑と緑
そしてつややかな緑の
ストイックな皿を
ありがたく頬張る
五月の朝は
かすかに土の香りがする
*
[とよさきみや]
帯文:以倉紘平
装丁:君嶋真理子
B5版変形上製カバー装
74頁
2015/11/30刊行