◆第一句集
言行の一致せぬ奴冷し酒
生来の冷静沈着の人柄は、句作においても同様で、焦らず急がず、つねにあるゆとりをもっての精進で、そのマイペースぶりは徹底しているかに思われる。
(序より・波戸岡旭)
◆自選十句
駟も舌に及ばず夜の燗熱し
われに熱燗あり妻になにありや
今年酒出され即断即決す
水着着てまで教師面してゐたる
以下同文繰り返されて卒業す
自称弟子そちこちにゐて迢空忌
月下美人好きも嫌ひも女扁
蠛蠓のごときにこんなにも字画
蘇州にて重陽の日となりにけり
船が舟曳きて蘇州の水の秋
*
[とっぱたしげなお(1946〜)「天頂」同人]
序:波戸岡旭
装丁:和兎
四六判フレキシブルバック
190頁
2015/11/13刊行