◆第二句集
ややありて母の流灯まつしぐら
別れを惜しんでいた母が、急に浄土へ向かった。つらさが「まつしぐら」に。
長い句歴の著者が繰り出す秀句佳句には、人生の絵巻を眺めるような楽しさがある。
(帯より)
◆矢島久栄抽出
まなこより粗塩こぼれ吊し鮭
指差せば海月くるりと傘反す
加はりしものがあと押し花筏
黄落や何か持たねば手の重し
羽子板市抜けて川面に目を癒す
五重塔のんど涼しく仰ぎけり
薄墨の山河に折りめ秋扇
涼しさよサザン・クロスの傾きも
尾で提げて潮重りの桜鯛
魂送るどの家からも道の伸び
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[おきゆうり(1935〜)「狩」同人]
帯:鷹羽狩行
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
204頁
2015/10/27刊行