◆第一句集
モンゴルのパオに二夜の星月夜
モンゴルのパオは花野のなかにある。そこで星月夜を「二夜」もさずかった喜び。
こうした句に励まされるのは、明るさや優しさが作品の根底にあるからだろう。
(帯より)
◆片山由美子選
薔薇活けて少し気重な客を待つ
雪舐めて息しづまらず狩の犬
丸き石丸く越えゆく春の水
夕立や海に逃げ込む蜑の子ら
足袋を脱ぐ後姿を見られしや
道を問ふ隙なかりけり白日傘
横顔も映して選ぶ夏帽子
衣ずれのきこゆるごとし黒揚羽
通されてしばらくひとり室の花
王朝の香りなるべし藤袴
*
[きじもとよしこ(1926〜)「狩」同人]
帯・序句:鷹羽狩行
跋:片山由美子
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
236頁
2015/09/30刊行