◆第一句集
有明の月に白鳥まだ覚めず
有明の白鳥が目を覚まして、どのように視界が展けるのか、私には何よりの楽しみ。これを踏み台に尚一段と次への飛躍が期待される。
(序より:後藤比奈夫)
◆自選十句
花街を抜けて七福神めぐり
侘寂の色かと思ふ沙羅紅葉
有明の月に白鳥まだ覚めず
いただきぬ吉野拾遺といふ葛湯
玉虫の明日香の色を纏ひたる
三角はさびしき形ヨツトの帆
登山地図にはあこがれの月の山
子規偲ぶころや鶏頭美しく
恋に身を焦しゐるもの踊唄
お買上げ歌舞伎役者や一の酉
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[いわたゆきえ(1950〜)「諷詠」同人]
序・題簽:後藤比奈夫
装丁:和兎
四六判並製カバー装
264頁
2015/10/10刊行