◆第一句集
これと定めたら迷わず一途に進む方だと思う。
冬眞さんの俳句への情熱と詩才は
これから更に大きく豊饒な世界を樹立されるだろう。
(帯より・鍵和田秞子)
◆自選十句
海鳴りや父の帰らぬ雛の家
やや寒の逆光の耳透けてをり
影ひとつはみ出すホーム神無月
徹夜なり紫煙まみれのががんぼよ
隅つこの好きな金魚と暮らしけり
よく笑ふ日よ置きごたつ買ひに行く
裏表なきせんべいよ母の日よ
遠火事のありて畳のよく匂ふ
狐火やくるぶし濡るるまで歩く
時効なき父の昭和よ凍てし鶴
*
[いいだとうま(1966〜)「豈」「未来図」同人]
序:鍵和田秞子
装丁:濱崎実幸
四六判変形上製紙クロス装
184頁
2015/09/25刊行