◆第一句集
紐渡すレーザーデイスク鳥威し
鳥威しに使われているのはディスクの裏面で、一見きらきらとかがやき反射鏡のように見える。稲田に張り渡した紐から「寄らばただではおかない!」と鳥たちに警告を発しているようだ。人間と鳥たちの智慧くらべもここまで来たのかと驚かされる。
(帯より:神蔵器)
◆自選十句
大鍋のひとつに足りる女正月
供花を選る墓所の残雪思ひつつ
春泥をつけて三和土に母の杖
犬の尾の千切れんばかり山笑ふ
青ぬたや山より雨の走り来る
杣へ行く父の面影喜雨の中
山裾の風まで白し蕎麦の花
振り返るほどの音たて朴落葉
残菊や日差し逃げ行く峡の畑
菜を寝かせ雪しんしんと峡の畑
*
[いしいみちこ(1954〜)「風土」所属]
序句・帯:神蔵器
跋:小林輝子
栞:神野紗希
装丁:和兎
四六判変型半上装カバー掛
228頁
2015/08/15刊行