◆第一句集
秋口の風吹きかはる草の色
この句集は作句を初めてから十四年間の作品で編まれているが、年を追うごとに
作品が深くなり、充実していることが判る。なによりも句に勢いがついてきている。
(序より:茨木和生)
◆自選十二句より
石鼎を小柄と思ふ単衣かな
草いきれ父の寡黙を畏れけり
綾子の朱色に汗の光かな
山塩に甘さありけり秋渇き
たけのこを掘るためらひのなき角度
打菓子のうす紅よけれ餅間
淵に見る水の碧さよ山桜
口説歌聞く楽しみも盆踊
四日かな白の卓布を柄にかへ
雨祝ざんざ降りにはならずとも
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[いのうえあやこ(1939〜)「運河」「晨」同人]
序:茨木和生
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
228頁
2015/08/08刊行