◆第一句集
裸子の捕はれたくて逃げまはる
裸でいるたのしさ、逃げまわるよろこびを、子どもの側からとらえた。読めば読むほど味わい深い句とは、こういう秀句を言うのだろう。
(帯より:鷹羽狩行)
◆自選十句
うぐひすの一声に丘晴れ渡る
葉桜の内より風の湧き立ちぬ
風鈴の風参道にあふれけり
サングラスかけて人の眼覗き込む
香水の手首をむずと捕へられ
干草に身を沈ませて星月夜
月代や水汲む壺を頭にかかげ
古日記火にめくられて火を吐きぬ
上座よりにじり寄られて年忘
竹馬の少年空へ駆け出せり
*
[いすみにじょう(1966〜)「狩」所属]
帯:鷹羽狩行
栞:神野紗希
装丁:和兎
四六判変型半上装カバー装
174頁
2015/08/30刊行