◆第一句集
日向ぼこ女盛りの過ぎにけり
ここに見られるユーモア精
神は、句集『待合室』を明るく豊かなものにしている。
『待合室』一巻があたたかく和やかなのは、このユーモア精神に拠るものにほかならない。
(序・大串章)
◆自選十二句より
桜貝少女大事に仕舞ひたる
葱坊主友多き子に育ちけり
区切られて回転ドアの春の風
入学の二百の胸の整列す
診察券出して金魚を囲みをり
白日傘大仏の膝通り過ぐ
トンネルに朝のありけり青嵐
冬瓜を抱へ直して渡さるる
看護師の愉快に太りカーディガン
クリスマス電車の好きな子に電車
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[たきもとかよ(1947〜)「百鳥」同人]
序:大串章
香世句八景:清水哲男
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装グラシン巻
188頁
2015/08/01刊行