◆第二句集
紫陽花や笑つてほしいから笑ふ
句集名が「笑ふ」とはユニークだなと思ったが、この紫陽花の句が表題になったのだろう。赤ん坊を笑わせようと赤ん坊に笑いかける。そこに「わたしから約束をする」に通じる華子さんの生き方が感じられる。「笑つてほしいから笑ふ」は、目の前の赤ん坊はもちろんのこと、華子さんの世界に対する姿勢でもあるはずだ。
(序より・小川軽舟)
◆自選十句
愛されて小指で汗をぬぐふなり
夕立やいつか離れる土地ならむ
夏の雨夫の目覚しで起きる
置手紙トマト重しに使はれて
暑中見舞たまりし女子寮のポスト
鳳仙花嗅ぐときひざまづく母よ
さかさまにブーツ干されて愛淋し
子に名前つけてよ春を呼ぶやうに
紫陽花や笑つてほしいから笑ふ
初夏の川を見送る暮らしかな
*
[えとはなこ(1984〜)「鷹」所属]
序:小川軽舟
栞:池田澄子/櫂未知子
装丁:野口ま綾
四六判並製小口折り表紙
166頁
2015/07/31刊行