◆第三句集
箒の目氷の上に続きけり
草つららは一月から二月ごろ吟行に行くと、水に近いところでよく見かける。水滴が草の先に氷ってできたものであり、朝日が差してくると美しく輝きながら解け消えてゆく。つい句作りを誘われてしまう自然の姿のひとつであり、句集名として選んだ。(あとがき)より
◆自選十五句より
初氷草の匂ひのしてゐたる
水盤に貴船の水を湛へたる
青き葉の流れ込んだる囮鮎
木曾谷を水の出でゆく月夜かな
七夕の笹立ててゆく艀かな
真青なる気流あるべし鷹帰る
金星の強き光や蒸鰈
刀研ぐ雪中の水汲みきては
御柱伐り出だす山氷りけり
さへづりの奥千本となりにけり
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[なかやませいいち(1943〜)「晨」「百鳥」同人]
装丁:和兎
四六判フランス装カバー掛
210頁
2015.07.01刊行