◆第二句集
狂ひたきこともあつたともやし独活
なんとか今日まで無事に乗り切ってこれたのは、俳句に慰められ、俳句に元気づけられたからこそと思う。
これからは、できうるかぎり、春の海の風のように、明るく軽やかに生きてゆけたらと願っている。
(あとがきより)
◆自選十句
狐火や泣けば指先まで熱く
冬牡丹てふ大奥を巡り来し
媽祖様の朱唇のぽつと春の闇
メロン切つて冷たき湯気を吐かせけり
鰯雲天秤棒に櫓の名残り
人が人に手を合せをり冬菫
屠蘇匂ふだけで酔ふとふ憎らしき
波乗りの待つ間途方もなかりけり
叱られし少女期ふつと雪が頬に
千鳥鳴くわたくし誰とゐるのやら
*
[ふじのりつこ(2006〜)「天頂」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
176ページ
2015/6/28刊行