◆第五句集
最近大愚とか大拙とかいう言葉に心がひかれる。これらの言葉を生き方の指針としているからである。私も人生を夢と観ずる齢になった気がする。夢であるならせめて大きいものであったらと願っている。という訳で今回の句集名を『大夢』とした。
(あとがきより)
◆自選十句
舟去りて水面を閉ぢる菱紅葉
春の海遅速競はず雲動く
白菖蒲輪郭翳が支へをり
犬ふぐり空青ければ海青し
夏草をはがし太古の遺跡掘る
朝顔の天に投網の花咲かす
葦原の瑞穂の国の稲實る
若鮎のひかりが堰を飛びにけり
火の毬を疾風が弾く曼珠沙華
山脈を従へて凧上がりけり
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[おおぜきやすひろ(1948〜)「轍」主宰]
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
98ページ
2015/06/08刊行