◆第一句集
直立のペットシュガーや夏館
夏館の直立しているペットシュガーは早朝、夜明けのコーヒーのものか。陶器かガラス製の円い筒状のものにペットシュガーが差されている。まだ一本も抜き取ってなく真っ直ぐに立っている。夏館の爽涼たる気が充ち、コーヒーの香がただよう。
(帯より 神蔵器)
◆自選十五句より
虹立ちて立体駐車場動く
鳳仙花鷹女に似たる姉をもつ
花野来て大聖堂の扉かな
母子手帳に記す我が名や冬菫
椅子に乗り外す電球地虫出づ
月曜の坂道上る薄暑かな
一か月検診を終へ雲の峰
直立のペットシュガーや夏館
陽炎にとび込む吾子を追ひかくる
子がひだり右見てひだり鳥雲に
*
[なかじまようこ(1966〜)「風土」同人]
序・帯:神蔵器
栞:南うみを
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折表紙装グラシン巻
218頁
2015/06/16刊行