◆第一句集
のどけしや地球の上に佇つをんな
地球の上に佇つをんな即ち作者である浅井さんでしょう。こんな句を詠む女性はめったにいません。しかし、考えてみますと、この句に俳句作者浅井敏子の本質が出ているのだという感じもしてきます。素直かつのびやかな人柄であることが分かります。
(序・黒田杏子)
◆自選十句
千歳飴りすの横切る裏通り
まなこ閉ぢゐる鳩もゐて冬はじめ
火を渡るまこと大きなマスクして
玄関に冬満月のお客さま
迫り来る山火かけ下りてくる子ども
ふきのたう数へる度に数を増し
さくら舞ふ御朱印帳を開くとき
芍薬の姉のごとくにうつむきぬ
道問へば立ちて秩父の草取女
十三夜猫のお皿に通り雨
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[あさいとしこ(1937〜)「藍生」所属]
序:黒田杏子
跋:名取里美
装丁:和兎
四六判並製小口折り表紙
132ページ
2015/06/06刊行