◆第一句集
さるすべり登りて鳥になる子かな
平明でなおかつ地道な歩みのような路子俳句。
しかし燻し銀のような深みと、厚みを兼ね備えているのである。
(序・望月百代)
◆自選十句
帰省子の窓に確かな夜空かな
蓑虫のふらりふらりと雨もよひ
つくづくし無邪気な噓を聞き流す
玉砂利に亡母の声乗る冬木立
冬立つや手水に並ぶ竹柄杓
父の日や家の何処かの薄暗き
妹の忌やをうをうと芋嵐
穏当な忠告耳に良夜かな
亀鳴くや無人で戻る渡し舟
手袋を外して終るひとり旅
*
[こざいみちこ(1943〜)「夏目」同人]
序:望月百代
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
176頁
2015/05/18刊行