◆第二句集
本書は温厚篤実な市井の人がひとたび俳句に向かったとき、徹底した写生精神により、自然に旅にそして人に入り込んで平明繊細な観察の中で一句を成している。殊に人を詠んでは現代の世話物俳句と言える句が見えるのは一つの新しさである。
(帯より:斎藤夏風)
◆自選十句
膨らみし簾子供の出て来る
定年のいとも簡単冬に入る
形代の五つに同じ息をかけ
水奔る秋明菊のうしろかな
一灯に夜霧の動く杉木立
飛んでゐる二つが弾け赤とんぼ
日は寂と祭の町の虚子の句碑
かうかうと降りくる鶴と田の鶴と
隣り合ひ静けさつのる蟻地獄
妻送り出していよいよ日の永し
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[こあくつけんすい(1939〜)「青林檎」代表「木曜会」会員「花鳥来」「屋根」同人]
帯:斎藤夏風
装丁:和兎
四六判並製小口折りカバー装グラシン巻
192頁
2015/04/29刊行