◆赤のシリーズ/第一句集
潮騒も入れて故郷の青蚊帳に
靖代さんは写生に基づく適切な描写力と豊かな抒情性を持っている。
瀬戸口靖代さんが、その豊かな詩的創作力を飛躍させ、更なる佳句を生み出すべく、次の目標へ向って休みなく進んで行かれることを期待する。
(序・有馬朗人)
◆自選十句
先導の鉦つつましき精霊舟
海光は沖よりあふれ鳥の恋
露光る今日ヴィーナスとなる石に
姫林檎言葉みづみづしく増えて
けふの日を裏返しつつ梅筵
禁教の世もかく香り蓬餅
あの辻を曲がれば父のパナマ帽
客人も神も海より雁渡し
西日濃しゲットーの路地いく曲がり
火の国やかくも大きく蝉の穴
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[せとぐちやすよ(1946〜)「天為」同人]
序:有馬朗人
栞:神野紗希
装丁:和兎
四六判変型半上製カバー装
228頁
2015/04/16刊行