◆第二句集
三線もて歌へば情肥ゆ島おぼろ
若夏は沖縄で旧暦四、五月の時候に当たり、本土の初夏の気候によく似ていて沖縄詠に最も馴染める季であった。その郷愁が「若夏」とさせたと言ってよい。
(あとがきより)
◆自選十句
まつすぐにぶつきらぼうに葱坊主
身に入むや息また入むや数息観
吾亦紅ただならぬ世の底点す
うぶすなの餞の雪こんこんと
夏つばめ働くものはこゑこぼす
噴水や急くとも時は時の中
故郷二つ菩提寺二つ秋ふたつ
ひそかなるものの眩しさ返り花
鳥雲に赤子は思惟の指しやぶる
戦跡即全島霊域つちふれり
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[なかむらひろし(1942〜)「萬緑」同人]
装丁:君嶋真理子
四六判フランス装
202頁
2014/03/21刊行