◆第一句集
鎌倉の大路まつすぐ夏に入る
大銀杏再生の枝茂りけり
中村晋子のこれからを象徴しているように読める。
『琴糸』は喜寿を記念しての句集である。上木をお祝い申し上げて結びとする。
(跋より:太田土男)
◆自選十句
一つづつ色の戻りて独楽止る
草餅(※餅は正字です)を色良く焼きて商へる
大雨を来て見えたる大桜
李朝壺の虎が猫めく薄暑かな
泉湧く太古の青をくつがへし
絶対安静生きてゐる汗光らせて
クレオパトラ歩きし道や芥子真紅
銀漢や明日登る山眼前に
立て掛けし琴糸空音冬に入る
ピカソにも優しき父性冬ぬくし
*
[なかむらしんこ(1938〜)「百鳥」同人]
序句:大串章
跋:太田土男
装丁:和兎
四六判並製カバー装
192頁
2015/02/15刊行