◆第一句集
ひつそりと守る御陵や余花の雨
和代さんは良妻賢母型の夫人で、優しい心の持主。感性豊かに物ごとの隅々にまで心の行き届く女性である。嫋嫋とした風姿でありながら、心に凜としたところがあり、決断力も人後に落ちない。
(序より・後藤比奈夫)
◆収録作品より
初蝶を迎へ入れたる野のやさし
牡蠣船の灯ればレトロ淀屋橋
試別火籠る法衣に春の雪
山の日の人懐しく返り花
鴨泳ぐ吃水線のあるごとく
金鈴子戒壇院を荘厳す
柚子釜をのせあり織部風焜炉
乙訓の奥へ奥へと竹の春
耕しつ先人慕ひゐるごとく
祇園会に今日庵の献燈も
*
[きたもとかずよ(1932〜)「諷詠」同人]
序・題簽:後藤比奈夫
装丁:和兎
四六判並製小口折りカバー装
174頁
2015/02/23刊行