◆第一句集
矢内洋子からやうち海へ。やうちさんは本名の殻を脱ぐようにして俳人としてのしたたかな風貌を現した。
名は体を表す。ここ数年のやうちさんの作品には、ゆったりと櫂を操り、広い海原に漕ぎ出たような大らかさがある。
(帯より・小川軽舟)
◆小川軽舟抄出十句
港町はたして雨の朱欒かな
春一番かばの図体水を割る
山に雪馬ほめて馬下りにけり
おはやうのいろは群青燕の子
竹煮草ダンプまるごと熱気噴く
鶏頭の色おづおづと出でにけり
潮遠く引いて燦たり仏生会
地平まで雨後の星空鮭のぼる
高嶺村星座涼しくこだませり
西瓜畑スプリンクラー風を呼ぶ
*
[やうちかい(1943〜)「鷹」同人]
帯・序:小川軽舟
跋:蓬田節子
装丁:和兎
四六判並製カバー装
192頁
2015/02/06刊行