◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
円かなる月の単純愛すかな
真面目ゆえの、多弁で危なげな部分をも持つ初々しい作を交えながら、螺旋階段を登るようにして辿り着いた、これらの句の円かなる佇まい。人はこんなに変化することが出来るのだ。
(跋・池田澄子)
◆自選十句
どろどろのマグマの上のかたき冬
こもり居の部屋の真ん中シクラメン
春の雪濃尾平野をびちやびちやに
うららかや鳩の草踏む音のして
カーテン替へて初夏をわたくし薔薇模様
吾子と見る絶滅危惧種の目高かな
裸子と裸の夫の間にゐる
ゴーヤーチャンプルー旨し選択の自由は尊し
円かなる月の単純愛すかな
皿にのり静物となるラ・フランス
あんぽんたんと言ふが優しさ赤のまま
銀杏散る神宮外苑吾は鳥に
*
[みずいわひとみ「古志」同人]
跋:池田澄子
装丁:羽兎
四六判並製カバー装
186頁
2014/11/07刊行