◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
温顔の一言居士──戦争中に生まれた世代というと私は「鷹」の中では第一に齋藤さんを頭に思い浮かべる。この国のありさまを嘆きながら、それでも愛してやまない。一日一日を大事にしたい気持ちになる句集である。
(序より:小川軽舟)
◆収録作品より
交信を終へ船上へ良夜なり
柿食うて柿採らぬ木をみてをりぬ
雪嶺の右へ右へと朝茜
人口が減る国に住み蠅叩
栴檀の花や雨だれ吹かれ落つ
鷹舞へる下にかたまる墓参かな
枯葦のことごとく擦れ鳴りにけり
突つこみしままの棒なり焚火跡
灯台の照らすうねりや年行けり
五千円借りしままなり遠蛙
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[さいとうしん「鷹」同人]
序・帯:小川軽舟
装丁:和兎
四六判上製クロス装
196頁
2014/11/19刊行