◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
はちゃめちゃの70代にあこがれている。吉良常がいて、チェーホフがいて、リリコ姫がいる。そこへたたきごぼう、鮒ずし、駱駝、大島渚などがやってくる。乱痴気騒ぎというか、飲中八仙をしのぐ飲中無礼講が延々と続く。その座に私もいたい。さしずめ甲斐一敏はその先達、いや、はちゃめちゃの酔いつぶれ。いやいや、「そぞろ寒むそぞろ幸せトロ一貫」という句などから推すとまだ品行方正、酔いが足りないかも。酔中に揺れよ、甲斐!
(帯より:坪内稔典)
◆自選十句
ミモザ咲きましたかと耳なし芳一
忘憂一献うららとも見える春の海
プリン一個喜屋武岬に置いてみんか
忘憂幾許パプリカの尻のくびれなど
手袋の裏も手袋海に雪
食み零す馬齢馬鈴薯馬糞茸
忘憂一献きりもなき萩と月のこと
夕端居海山空松青きしむ
窓たたく耳なし芳一春の雨
桃すする忘れてもいいかいマノン・レスコー
*
[かいかずとし(1941〜)「船団の会」会員]
序文にかえて:串田久治
装丁:和兎
四六判並製カバー装
128頁
2014.11.16刊行