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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
満月の狂気女を孕ませし
童女のように明るく優しい作者は、数々の苦難を経て強い芯を持ち自立する女性でもあることに気付かせられるのである。この句集はこのような底辺に支えられて社会的視野をはじめ、奔放にさまざまな側面をもっている。
◆収録作品より
点々と春竜胆のクリスタル
虫動くほたるぶくろの幻燈機
名月を毬つくような雲のあり
揺籃の小さき細工師オトシブミ
野蒜摘むに白髪ぬく目をしていたり
ぜんまいの臑毛するりとはずれたり
のどけしやハングル文字の絵描き唄
押入れの熟柿喰うなと夫発つ
軽く?みきゅっと引っぱるさくらんぼ
蛇が寄る女の髪を焼きし穴
拘禁に狂いし父や青嵐
*
[いわさきのぶこ(1940〜)「梟」同人]
序・矢島渚男
装丁・和兎
四六判フレキシブルバック
182頁
2014/10/8刊行