◆ふらんす堂編集日記
◆第九句集
目にしかと溜めん今年のさくらかな
集名の「素心」は、加わる齢のおのれをかえりみるとき、今さらに真率に、素の人間に還って、という思いを深くしてそう名付けた。
(あとがきより)
◆自選十句
箸つけて幸さながらや花菜漬
笈摺を膝にたたみて春の夕
雛祭る美しき灯の入りにけり
われも手を曳かれてむかし宵祭
田を植ゑていま日本の美しき
ときにわが齢訝し秋の風
手を当ててわが心音や雁渡る
青空に紛れもならず寒桜
眠りつつ笑まふ嬰にも年新た
ねだられて嬰に読むグリム福寿草
*
[わきむらていとく(1935〜)「杉」同人]
装幀:君嶋真理子
四六判上製カバー装
224頁
2014/10/08刊行