◆第一句集
湿りたる吾子を抱くや螢の夜
根底に生活体験を置き、目配りの確かさ、繊細な感受性を大切に、日常の中から掬い上げた詩情が生きている。モチーフも多彩で、様々な広がりのあるのも良い。どの句にも無理がなく、心の深まりが感じられる。
(序より:鍵和田柚子)
◆自選十五句
強東風や芯を確かむスパゲッティ
雪嶺の阿蘇美しきこころとは
毬栗を蹴つて地球の渇く音
初?の啼いてこの世の真中かな
まだ熱を持ちたる日傘たたみけり
腕に寝る黒髪の子よ原爆忌
月眺めさうして月に眺められ
雪もよひ母に乳あり唄のあり
桐の花をんなは真昼遊びをり
*
[かわもとみさこ(1967〜)「未来図」同人]
序:鍵和田柚子
装丁:川本美佐子
四六判並製カバー装
222頁
2014/09/26刊行