◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
聖五月だんだん風の集まれる
かたしま真実の対象を見る目は、おそらく濁りというものがなく澄みきっていて、草花や生き物はもちろん、風や波、土などの自然のほんのわずかな変化を見過ごすこともないだろうと思われる。
◆自選十句
ほつぺたの触れ合ふ冬の金魚かな
?がりて枯蓮と枯蓮の影
流れては石に巻きつく春の水
蟋蟀の踏みたる草の沈みけり
十字架を背負ふ衣に落葉降り
寒煙はアッシジの丘這ひ下りて
祈り終へ北の薔薇窓塞ぎけり
受難日のわが足元の波光る
万緑のその奥隠れ切支丹
秋立つや御顔の焦げしマリア像
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[かたしままみ(1964〜)「大」同人]
序:境野大波
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折り
168頁
2014/09/30刊行