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◆ 第一句集
「床の間に笠と杖置き遍路宿」「同行二人」と書かれた笠と杖。それを床の間に置くところに、一日を無事に歩き通すことができたという弘法大師への感謝の心が示されている。「炎天をゆくに拳のほか持たず」この決意と潔さに作者の性格が表出されている。本句集の読後の爽快感は、全句が正統派の揺るぎない表現に貫かれているからであろう。
(鷹羽狩行)
雑念を払ふがごとく水を打つ
寒紅を濃く引ききついことを言ふ
ぎくしやくと来て矍鑠と泳ぎ出づ
床の間に笠と杖置き遍路宿
炎天をゆくに拳のほか持たず
雨を呼ぶ三社祭となりにけり
跡継ぎのなきことにふれ盆の僧
暮れてより風の強まり三の酉
灯籠を流せしあとの水匂ふ
名月を玉と浮かべて五十鈴川
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序句/鑑賞五句/帯・鷹羽狩行 跋文・高崎武義
君嶋真理子
四六判上製カバー装
200頁 2007.12.07刊行