◆第一句集
新米を真水のごとく掬ひけり
『弓弦』の句は、心底清々しい。と同時に、一句一句が、それぞれ立ち止まらざるを得ない宇宙を内包し、潔い切れをもって完結していることに改めて感嘆せざるを得ないのである。
(序より・石田郷子)
◆自選十句
羅の手のしづかなる護摩仕度
鬼やんま知恵の目玉を向けにけり
冬帽子レーニン髭をいつくしみ
白鳥の来る空といふ遠さかな
人の日といふてのひらの豆腐かな
汐からくなるまで佇ちて霞むなり
一粒の涙はかたきクリスマス
四万十川を知り尽す帆や春祭
岳風を?みなほせる燕の子
瘡蓋のやうなる冬をゆかせけり
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[たくさがわのりこ(1947〜)「椋」所属]
序:石田郷子
装丁:和兎
四六判上製カバー装
218頁
2014/09/26刊行