◆精鋭俳句叢書 月のシリーズ
おほぞらを奏づる風や桐は実に
いつからか、遙かな「全体」への希求が、潔氏の作句の柱となっています。『斉唱』とは、まことにふさわしい集名といえましょう。
(栞より:千葉皓史)
◆自選十五句より
ひとりづつ樹のかげにゐる九月かな
傷癒ゆるごとしあぢさゐ芽吹けるは
束ねられ手紙古りゆく桜東風
母の日や楽譜小鳥の森のごと
雨だれを受くる水ある彼岸かな
鐘撞きし人戻り来る桜かな
手袋の手を青空に伸ばしたり
冬紅葉一生の心拍の数
てのひらに低き丘あり枯木星
階段に人があふれて夜のさくら
*
[かめわりきよし(1965〜)「OPUS」所属]
序句:和田耕三郎
栞:千葉皓史
装丁:君嶋真理子
四六判並製小口折表紙グラシン巻
176頁
2014/09/15刊行