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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
定型感覚・季語の斡旋・写実力、景と情のバランスの取り方などの基礎が確かである。心のおもむくまま、さまざまな素材に挑みながらも大きな破綻を見せない。それは作者の自作への厳しい姿勢によるのであろう。この自作品への厳しさこそ、作者のもつ優れた素質と思われる。
序・矢島渚男
◆自選十五句より
街中を羽根つけて飛ぶ牡丹雪
あめんぼと蝌蚪の立体交差点
切り株は母の定席朝桜
黒板が遠き渚に見えて夏
森の香の白夜の手紙開きけり
籘椅子に幽霊を待つブランデー
一瞬の自死向日葵の午後続く
生前と死後のあはひの夕涼み
水買ひにゆつくり歩く秋暑かな
鳴くことと黙ることのみ鉦叩
*
[おかもとさや(1956〜)「梟」同人]
序:矢島渚男
栞:鳥居真里子
四六判並製カバー装
192頁
2014/06/26刊行