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◆ふらんす堂編集日記
◆第二句集
長良さんに導かれて私は文人画の中に迷い込んだようだ。渓流に小橋がかかり、旅人の傍らを村の童が駆け抜けてゆく。線路や讃美歌やヘリコプターが出てきてもその世界は穏やかな調和を失わない。長良さんの俳句はどれをとっても関西の風土とその奥行が感じられる。それは長良さん自身の人柄とその奥行でもあるらしい。なつかしい句集である。
(帯より:小川軽舟)
◆小川軽舟抄出
星飛んで山の校舎の壁白し
横抱きに子を渡しけり夏の川
冬瓜汁恋女房も古りにけり
初蝶や道案内の女学生
狐雨鶏頭赤と決りけり
青空は何も落さず春の湖
森に来て時失へり合歓の花
門前に胡麻を叩きて僧若し
奥宮に春の時雨のやどりかな
*
[おかざきちょうりょう(1926〜)鷹同人]
帯:小川軽舟
装幀:君嶋真理子
四六判上製函装
160頁
2014.06.22刊行