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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
作業手袋はづし蕃茄の腋芽摘む
翠苑さんは畑の土の上で発想して、新鮮な俳句を生み出して来た。野菜や果物もまた草木のひとつ、「山川草木悉皆成仏」という思想を読み取りもした。「澤」創刊以来ともに汗を流してきた、たいせつな仲間の第一句集である。
(帯より:小澤實)
◆小澤實選より
鍋の湯に入れし煮干や今朝の秋
もぎつつも食へる蕃茄や皮は吹き
屋根と地とつながる雪や突き落す
汗の胸富士より風の吹きおろす
団栗の轢き砕かれぬ車道の上
三百箱早苗に水を噴射せり
吹き込む雪一直線や納屋半ば
餅米洗ふ笊の目詰りたたき出す
アイスランド火山噴火や蝌蚪の紐
電子レンジ十秒蝗しづもりぬ
*
[たけむらすいえん(1922〜)「澤」同人]
帯・序:小澤實
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装グラシン巻
196頁
2014.06.16刊行