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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
稲びかり鳥見の窓の沖遠く
久美さんは私と同年齢、昭和ひと桁のしぶとく生き続ける世代だ。体力も句力も横溢している。命の美の追求とは限りなく楽しく果しないものだ。今後どの様な美しさを句の中に広げてくれるか期待したい。
(序より・斎藤夏風)
◆自選十五句より
雪折の樟の大枝香りけり
言問を渡るマフラー紅見せて
寒晴や石屋の石に人映り
紅梅の右の木見れば右の濃く
老いてなほ二人の師あり水温む
子と唄ひ女雛の唇の開くかに
祖父の身となりて眩しき初桜
うららかや離宮へ船出知らす声
春宵や酒汲むほどにみな若く
広縁に座せばささやき春障子
*
[はしもとひさみ(1931〜)「屋根」同人「花鳥来」会員]
序句:深見けん二
序:斎藤夏風
装丁:君嶋真理子
四六判並製カバー装
182頁
2014.05.24刊行