◆ふらんす堂編集日記
◆遺句集
蛞蝓詫びるが如く縮みをり
季語の斡旋は俳句の生命、それを使い分けるのも作者です。また、心象句では思春期の反抗精神は怖いものなしとは言い得て妙、笹子の声が心音に応える時は心も癒やされることでしょう。
(序より・三枝青雲)
◆収録作品より
燕の子家は豊川消防署
縫初は母のズボンの丈返し
夏衣主人の好きな色のみで
どの子にも未来図のあり七五三
残る虫延命治療といふ言葉
乃木邸の日の丸揺らす春疾風
花八つ手左千夫生家の米俵
昼花火焦れつたいほど遠慮がち
笹子鳴きわが心音に応へけり
思春期はこないものなし青薄
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[あさいまさこ(1944〜2013)]
序:三枝青雲
あとがきにかえて:浅井和彦
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
174頁
2014.05.24刊行