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◆ふらんす堂編集日記
◆第一句集
一寸法師のつてをらぬか花筏
花びらを連ねた「花筏」だから、筏師が乗っているとすれば一寸法師ぐらいか。
発想が大胆であり、それを表現で納得させて見事である。当意即妙の作風といえよう。
(帯より・鷹羽狩行)
◆大野崇文抽出十二句より
美しき仏の十指初あかり
罪に色あればくれなゐ曼珠沙華
凍蝶のいのちいちまい石の上
いつしかに夫婦相似て豆の花
生も死もひとり芝居や火取虫
衣よりも翼が欲しき更衣
虫の闇こころの襞にひそむもの
夫逝きて夜長の丈を引きのばす
あかときの凍鶴赤き息吐きぬ
うつし世にたはむれせんとや春の雪
*
[くろかわ・きょうこ(1933〜)「狩」同人]
帯・序句・鑑賞四句:鷹羽狩行
跋文:大野崇文
装画:豊田路子「ヤブツバキ」
装丁:和兎
四六判上製カバー装
190頁
2014.05.14刊行