書籍詳細

川崎綾子歌集『ガレの耳』(がれのみみ) [9784781406688]

販売価格: 2,700円(税別)

(税込: 2,970円)

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書籍詳細

◆第一歌集
跳ばむとす私がわたしであるために最初の一歩は思いきり遠くへ

「最初の一歩は思いきり遠くへ」この意気込み、自負は、出版にあたって自らへの覚悟を表明するものであろう。このように背すじを伸ばして詠む著者を、私は頼もしく心より祝福するものである。
(序より・神谷佳子)

◆自選十首
「事の聞え」という言の葉のさやさやとなべてを濡らしさくら雨ふる
春まだき雨水薄墨うすうすと記憶の底にしまわれている
魂護る神とう白虎に眉あると見えてなごめるキトラの古墳
青龍から白虎からたつ風のおと地の底の韻たしかに聞きぬ
春はもう「風の森峠」こえたらむ蒲公英いちりん足許に見付く
数珠繰りの輪の内側へうちがわへと呪術めきゆく念仏のこえ
無音なる時間の河が渡れずに天津甘栗ぱちんと割りぬ
くじ箱に総紐くるりと掛け終えて男の子は唇の真一文字解く
ひと夜茸ひと夜のびゆく物語ほのと灯してガレの耳澄む
緯糸に寡黙な冬を縦糸にかぜ織られいむ上田紬は

*

[かわさきあやこ]
序:神谷佳子
装丁:和兎
A5判フランス装カバー掛
238頁
2014.04.26刊行
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