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◆ふらんす堂編集日記
◆第二句集
しばらくは風の音きき魂送り
浄土へ帰る故人を心の中で送っていると、風音までが悲しんでいるように思われた。
人なべてふるさとを持ち啄木忌
啄木の歌にもあるように、誰もがふるさとを心のよりどころとして生きている。以上二句とも詩趣がそれぞれであるように、幅広い作風が著者の特長といえよう。
(帯より・鷹羽狩行)
◆片山由美子抽出十句
はやばやと夫の買ひ来し雛あられ
出勤に間のありて掃く小米花
抜き手切り徹夜踊の輪の中へ
春泥を跳ぶや目測あやまたず
遺されて菊の根分をしてをりぬ
宇宙へと人は旅立ち冬銀河
まつ白な傘を連ねて梅雨茸
本を閉ぢ眼をとぢて初音かな
夫の忌を待ちて開きぬ白牡丹
奥飛騨の寒さ力に紙を漉く
*
[とおるいつみ(1939〜)「狩」同人]
帯・鑑賞四句:鷹羽狩行
装丁:君嶋真理子
四六判上製カバー装
180頁
2014.05.01刊行